Jane's 688(I) Hunter/Killer (EA) 688(I)

ハンター/キラー

RATE:こまかいことに目をつぶれば最高!

 

もしかしたら最高峰かもしれない現代潜水艦シム。

そもそもなんでこんなものに手を出したかというと、キッズステーションの「沈黙の艦隊」を観てしまったからなのだ。原作と違い、アニメ版は展開がテンポよく、しかも戦闘シーンの描写が多い。そこで、自分でもやってみよう!と思うのは自然な成り行きなのだ。

プレイヤーはまず、基本的な装備から潜水艦の航法まで、そもそもどうやって運行するのか?ということから学習する必要がある。知ってのとおり視覚に頼ることができないので、各種センサー(ソナー、レーダー、ESM(電子監視装置))と、それらから得た情報を解析する各種装置 をひとつひとつ操作して推測しつつ行動するのだが、潜水艦というのはなるほどこういうふうにして行動するのかということも分かってなかなか面白い。マニュアルには基本的な手順が親切にかかれている。ただし日本語版マニュアルについては後述。

 

重要なのはセンサーの「読み」

3種類のパッシブソナー、アクティブソナー、レーダー、レーダーを受信するESMなどを使って情報(基本的に音)を得、音を復調して周波数成分をみて相手の艦種を特定、定期的にこちらの速度、方位、信号の方向を記録して相手の進路や速度を推測する。つまり、確定した情報はほとんど得られないということなのだ。さらに、実戦で民間船がまじってたりするとなかなか思うように行かない。可能な限り信頼性の高い情報を得るために、プレイヤーはさまざまな機器を適切に扱い、適切に判断を下さねばならない。この「確定した情報がない」という状況はプレイヤーにとてつもないストレスとなって襲ってくる。これで正しいと思って発射した魚雷が爆発しても、それは命中したのかどうかすらも確定できないのだ。(やはりというか何と言うか、ゲームらしく外部ビューを使って観察することができるのだが、本来使うべきでないだろう。)

 

アシスタントはチート?

この複雑な操作を自分でやってもいいし、アシスタントにやらせてもいい。少し気になるのは、アシスタントにやらせた場合、計器類を見てどうやっても知りえない情報が早々と確定情報として出るのだ。たとえば、極めてかすかなコンタクトだと、人間ならシバラク様子を見てから判断を下すが、アシスタントを使うと、いきなり、敵か否か、水上か水中かという情報がわかってしまう。かなりチート臭いが、現実のソナー担当は何人もいるので、すばやい分析が可能なのだと思って我慢しよう。

単にソナーの読みだけでなく、音の伝わり方が変化する層を使ったり、ジャマーやデコイをつかった回避方法など、戦術面でのテクニックも存分に発揮できる。武装は、基本的に1種類の魚雷だけである。水上の艦艇を攻撃するときはハープーンミサイルも使える。ハープーンは1発では沈められない上、相手にミサイルと打ち落とされる可能性が大きいので、あまり得策ではないと思った。トマホークミサイルやSLMM(水中機雷)もあつかえるが、ミッションクリアの条件のために使うだけで、好きな相手を狙えるわけではない。

 

それなりにいい感じの演出。

操作画面のCGに派手さはなくリアルで、命令を復唱するポイスや各種サウンド効果もよくできている。ただし'97年のゲームなので、それなりの古さは感じる。特に優れていると思ったのは、ソナーの表示のそれっぽさだ。ソナーは全方位の音を拾い、それがソナー担当コンソールに「ウォーターフォール」と呼ばれる形で視覚化される。それがちょっと不安定で、いかにも自然のものを拾っているという感じがいい。ターゲットが艦船だとシャーッっという音が聞こえるし(しかも種類によって違う)、クジラだと鳴き声も聞こえる。

 

指揮官は大胆な決断力を迫られる。

確定できる情報が少ない中で「これが正しい」と信じて魚雷を発射するには相当な決断力が必要だ。しかも、先に敵に撃たれると圧倒的に不利になる。時にはあてずっぽうで発射する必要もあるし、必ずしも納得できる状態で判断を下せるとは限らない。これを敵よりも早く決断しなければならないのだ。この決断という行為に大胆さを要求され、これが非常に面白い。

 

ミッションは、トレーニング、シングル、キャンペーンと揃っており、DSRVを使っての救助や特殊部隊を上陸させたりと多岐にわたる。得た得点によってアシスタントの能力を向上させたり、艦の性能を上げることができる。シミュレーション性はそがれるだろうが、キャンペーンの後半は性能を向上させることを前提にバランスをとってあるような感じだ。

ミッションエディタもついているのだが、驚いたことに地球上の地形データをすべてベクトルデータとして持っているらしい。東京湾でのシナリオも簡単に作れるし、クジラを配置すると鳴き声も聞くことができる。北極の氷の下をもぐったりというのはないようだ。やたら得点の高いミッションを作れば、簡単に艦やアシスタントの能力を上げることができる。

エレクトロニックアーツスクウェアの日本語マニュアルは完訳ではなく、これだけでプレイするのは少し辛い。記述の欠如した部分も見られ、オリジナルの英文マニュアルと対比する必要もある。 余談だが、「沈黙の艦隊」でやっていたことはほとんどすべてできない、と言っておこう。

 

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