Delta Force Black Hawk Down (Novalogic)

デルタフォース ブラックホークダウン (ノバロジック)

RATE: 前作までのデルタフォースを期待するならプレイする必要なし。
プレイ時間: クリアまであと2ミッション



はじめに。

ゲームには2種類ある。言われたことをただひたすらこなしていき、ご褒美としてストーリーの進展や綺麗な演出を見せ、プレイヤーを楽しませるもの。もうひとつは、フィールドとルールと目的がプレイヤーに与えられ、プレイヤーが楽しむもの。前者ではプレイヤーは受動的であり、何も考える必要がない。作業をシーケンシャルにこなし、要所でご褒美が出てくる。ボタンを押せばストーリーが進展する映画であり、ただ座っていれば楽しみがでてくる遊園地の乗り物である。後者では、目的を達成するためにプレイヤーが能動的に考える必要がある。無数にある手段からひとつ選び出し、試行錯誤を繰り返す。プレイヤー自身がストーリーであり達成感も自分で作り出す。

このデルタフォースブラックホークダウンは間違いなく前者である。プレイヤーは矢印のとおりに進み、途中に用意された敵を倒し、決められた地点へ到達するとイベントが発生する。言われたとおり忠実に実行すると任務完了となり、「ほら、感動したでしょう」と言われる。途中何回か死ぬことになるが、気にすることはない。どこで何が起こるかは毎回決まっているので、何度か挑戦すれば覚えるだろう。

ブラックホークダウンの映画を見て気分が高まったところで、ブラックホークダウンとチームセイバーがセットになったこの廉価版を買ったのだが、これが大失敗だった。前作までと打って変わって、一本道の覚えゲーになっていたのだ。前作までのような、自分の考えた攻略で、広大なフィールドを自由に走り回れるゲームを期待していたのに!



いいところ

ブラックホークダウンの映画という非常に具体的な映像を見ただけあって、演出面では大幅に強化されている。隊員の動きや、RPGによる攻撃、テクニカル、爆発シーンなどなど、いままでのデルタフォースシリーズとはまったく比べ物にならないほど向上している。特に、味方の隊員が多く登場し、ある程度共同作戦ぽいことができるのはとてもいい。自分の部下は3名おり、自分の後ろをついてくるようになっている。地形にひっかかったりすることなく、小気味よく動いてくれる。また、ルームクリアリングでは率先して前に出て攻撃する。そうとう攻撃を受けても死なないのは、まあアクションゲームだからいいだろう。




悪いところ

凡庸なアクションゲームとしてもちょっとどうかと思うところはいくつもある。ヘリのミニガンやハンヴィの機銃を操作できるシーンがあるが、進行ルートは決まっているし、敵の出現パターンも同じなのでちっとも面白くない。戦闘もほかのアクション系FPSのようにある程度広いフィールドを走り回ってアクション的テクニックを駆使できるのならいいけど、戦闘フィールドとしてはちょっと狭い感じだ。しかも、自分の判断である程度ルートを離れると、任務に戻れと言われ、ゲームオーバーになってしまう。スナイパーライフルを持ってちょっと見晴らしのいいところに移動したり、地雷原を迂回しようとしても、それはできないようになっている。ほとんどのミッションでは、あらゆる方向から民兵によるゲリラ的攻撃を受ける。映画で見たシーンそのものだが、実際の米軍はいつもこんな無茶な作戦ばかりしてるわけじゃないだろう。




冒頭に書いた受動的ゲームが悪いという意味ではない。ライトユーザーの多いコンシューマーや、一般客を相手にするアーケードゲームなどは、プレイヤーが受動的に、どんな人でも一定以上楽しめるように設計されている。PCゲームにはプレイヤーに能動的行動を要求するマニアックなゲームが多いのは周知のとおりだ。デルタフォースブラックホークダウンは、明らかに映画公開の盛り上がりにあわせて利益を狙った製品であるので、ライトユーザー向けとなるのは必然なのかもしれない。しかし、もっとも重要なのは、開発者がこれらのことを自覚し、意図的に行ったのかどうかなのだ。