Fighter Squadron (Activision)

ファイタースコードロン

RATE:突出した良さはあるが全体的に作りこみ足りない

 

二次大戦物のフライトシムである。全体的に内容はかなりひねくれている。まず、シングルミッションのみで、インスタントプレイやキャンペーンプレイがない。搭乗できる機体は、B17、P38J、P51D、LancasterMkI、SpitfireMkVB、MosquitoFBVI、TyphoonMkI、Ju88A4、Fw190A、Me262とかなり曲者。爆撃機を操縦でき、しかも砲座まで操作できるのになぜかBf109がない。所属部隊を選択でき、部隊によって同じマップでもミッション内容がことなる。マップはドーバー海峡、北アフリカ、ラインラント。

 

徹底的にこだわった物理現象の再現。

このソフトの最大の特長は、フライトシムである以前に、徹底してこだわった物理現象である。物理現象と呼ぶのは適切かどうか分からないが、物体と物体がぶつかったりしたときの影響の表現だ。例をあげると、まずMe262で着陸の衝撃が大きかったとき、着陸脚が折れてしまう。タイヤが外れて前のほうに転がっていく。翼の下につけられたジェットエンジンが地面にこすれるとどうなるか。爆発するだろう。このゲームでもそうなる。翼が地面にヒットしたとき、ヒットした部分だけが壊れてしまう。敵機が空中で墜落するときも、単純な爆発でなく煙の尾を長く引きながら滑空していく、翼が折れてスピンする様子など、これが実に自然なのだ。自然すぎてほかのゲームをプレイしたとき初めて気づくくらいだ。しかしながらあらゆる局面で再現されているわけでなく、想定されていないものには影響がないらしい。たとえば、地上を滑走して翼を建物に当ててみても何も起こらない。このくらいならまあいいかという感じだ。

 

極めて美しいグラフィック。

そしてこれらを表現するグラフィックは異常なまでに美しい。発売されてすでにかなり経っているが、いまだに最新作と見まごうほどの美しさだ。特に、やわらかな綿雲が連なりあう様子などはおそらくフライトシミュレータの中でも最高かもしれない。地上や海面の色は渋めでリアル。街などの地上建造物が少ないのは物足りない。

 

クイック過ぎるジョイスティック感度。

すばらしい視覚効果とは裏腹に、フライトシミュレーションという点で疑問符が多い。まず、ジョイスティック感度が高すぎる。一応感度を設定できるが、最低にしてもクイック過ぎる。マップを見るために視線をずらすと、すぐにロールして明後日のほうに飛んでいってしまう。まっすぐ飛ぶのにも相当苦労する・・・もともと戦闘機は操縦が難しいものだが、これはやりかたが間違っているだろう。実際これでまともな空戦をするのは辛い。フライトモデルに関してはエンジンの巨大なトルクや失速が再現されており、比較的良好。ブラックアウト、レッドアウトすると回復しにくく、少々厳しい。デフォルトのコクピット画面には何も情報がなく、オプションでHUDや弾数、敵機の情報などを表示させるようになっている。飛行中の多機の情報のON/OFFもでき、すべてOFFにすれば最高のリアリティになる(というかなにがなんだかわからない)。計器やマップを参照するには、キーを押して計器の拡大画面を見なくてはならない(コックピット表示をズームアウトしてもよい)。全体的に硬派なつくりと言えるだろう。

 

頭がいいのか悪いのか? コンピュータ機。

また、ミッションもいまひとつよくわからない部分がある。離陸してみんなバラバラに飛んでいき、勝手に設定ルートを進行するのだが、普通は編隊を組むのではないか? 編隊を組むコマンドもあるが「あんたは編隊長じゃない」と言われるだけで、コンピュータ機はこれでいいと思っているらしい。これはかなり疑問だ。一度に登場する飛行機の数は少ない。逆に、敵機の空戦能力はなかなかいい。うわさによると、コンピュータ機だからといってハンディは与えていないらしい。相手も同様にシビアな特性の機体を操縦し、しっかり照準をつけて撃ってくるらしいのだ。

 

機体を追加できるOpenPlane仕様。

このゲームはめずらしく機体を追加できる仕様になっている。とは言っても、自分たちで作るのは面倒だからユーザーたちで勝手に作ってくれ、ということらしい。(機体が追加できるようになってるからBf109は入れなくてもいいだろう、という考えならデベロッパーの姿勢として明らかに失格だ。) 幸いにも海外のサイトを検索するといくつか機体データを公開しているサイトが見つかる。Bf109やゼロ戦の機体もある。デフォルト機体並に高品質なものが多いと思う。

ミッションエディタも付属しており、追加期待の登場するミッションを自作できる。このゲームは、ユーザーが勝手にデータを追加して楽しむというツール的なソフトなのかもしれない。いずれにしても全体的に中途半端という感がぬぐいきれない。

 

www.parsoft.com 開発元のサイト

www.activision.com 販売元のサイト

 

 

 

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