MAX PAYNE (REMEDY ENTERTAINMENT)

マックスペイン

RATE:要素の少ない素朴なゲーム。
プレイ時間:序盤、ニューヨークの地下まで。





Skavenは曲作ってねえ。Purple Motionはどこへいった。

REMEDY ENTERTAINMENT。このフィンランドの開発集団は、グラフィックスベンチマークのFinal Reality、マッドオニオンのMAX-FXテクノロジーで知られるが、それ以外にも特別な郷愁をよせる者も多いはずだ。そう、このREMEDYには発足当時にComplexやFutureCrewのメンバーが絡んでいるのだ。彼らの作品をもう一度見たい、えいえんに活動を続けてほしい、と思うのは私だけではないはずだ。マルチメディアPC創世記からユーロデモシーンで培った彼らのテクノロジーは、いまやグラフィクスハードウェアやソフトウェアの最先端のテクノロジーに寄与し、彼らのセンスをいかんなく発揮し、製品へと結実している。これこそがREMEDYの期待される理由であり、その成果のひとつがこのゲームソフトウェア、MAXPAYNEなのである。

簡単にゲームを紹介しておく。ヤク中のギャング(?)に家族を惨殺された主人公MAXが、麻薬取締局のエージェントとなり、悪に立ち向かう。三人称視点で操作はオーソドックスなWASD、特殊な操作として横移動+ジャンプで横転アクション、後ろ移動+ジャンプで後ろ転がりアクション。右クリックと併用することで、そのアクションがスローモーションとなる。何もアクションをしてないときに右クリックをすると、ただのスローモーションとなる。横転やスローモーションは主に敵の弾を避けたり敵を狙ったりするのに使う。スローモーションにできる時間には制限があり、敵を殺すたびに増えるような気がする。






何と素朴なゲームであることか。

第一印象は、悪い意味で予想通りであった。このゲームの開発途中の情報をチェックするたびに思ったのは、あまりに現実世界に忠実であるために、ゲーム内容が束縛されないか、ということであった。現実世界では当然、レーザー兵器などないし、個性的なモンスターも出てこない。迷路のように複雑な異次元エネルギー研究所などもない。現実世界にこだわればこだわるほどできることが少なくなるのでは、という懸念があった。

実際にプレイしてみると、さすがに彼らのセンスの良さは光るところがあるものの、地味なテーマのこのゲームでは発揮のしどころがないように感じる。三人称視点は、わざわざマトリクス風アクションを見せるために無理やりにしたようで必然性に乏しい。また、スローモーションに根拠がない。主人公は時間を操る超能力者なのか。物は動かせない。壊したりできる物体も少ない。個性的な敵キャラクターも出ない。武器は普通のピストル、ショットガン、マシンガンだけ。謎解きらしい謎解きもない。やたらリアルな背景を進めるところを進んで、横転アクションなどしながらピストルで敵を殺しながら進むだけだ。だんだんと派手で複雑化する現在のFPSとは対照的である。悪く言えば物足りない、良く言えばシンプル。だがこの場合、シンプルと言うより、とても素朴なゲームというほうが言い得ていると思う。

余談だが、前作DEATH RALLYもとても素朴なレーシングゲームだった。オーソドックスだがバランスがとてもよく、完成度が高かった。人気アーティストPurpleMotionの曲がs3m形式で収録されるなど、ツボを心得たコンポーネントであった。







開発者の事情が見えかくれするゲーム内容。

また、随所で静止画像によるストーリーシーンに切り替わる。3Dではなくふつうの2Dビットマップだ。あまりに頻繁に起こるので、このストーリーを見るのがメインであるかのように思うほどだ。ゲーム自体はおざなりで、挿入される垂れ流しムービーやストーリーに重きを置く昨今の家庭用ライトユーザー向けゲームのようなテイストがある。はたしてこれは狙ってそうしたのか、あるいはやむなくこのような形にまとめたのかが気になる。とりあえず思った通り流行りのFPSを作ってみたはいいが、おもしろくなかった。しかたなく当時流行っていたマトリクス風の演出とフィーチャーを取り入れ、三人称視点にし、強引にスローモーションフィーチャー付け足してしまったのではないか。マルチプレイヤー機能がないのも、戦闘部分がほとんどおもしろくないのが露呈してしまうからではないか。戦闘部分がおもしろくないからストーリー説明シーンを多く取り入れたのではないか。開発期間に猶予がなかったのでアメコミ風2Dビットマップにしたのではないか・・・。やたら長い開発期間ということもあって、変に勘繰ってしまう。

むしろこのゲームのおもしろさは通常のPC用FPSではなく、TOMB RAIDERやコンシューマーゲーム的なところにあるのかもしれない。横転アクションなどを使いこなせばおもしろくなるかも知れない。が、奥が深いとは思えないのだ。俺様自身REMEDYは一目置いているだけに、きっと何かあるのでは、と期待してしまうのだが、商品とはつまり第一印象で客におもしろいと思わせなければ失敗なのだ。







 

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