Pro Pilot '99 (Sierra)

プロパイロット'99

RATE:他のシミュレータのサブとしてプレイするなら面白い。

 

開発にはなんとあのsubLOGICのメンバーが参加しているというだけに、期待も膨らむ(実際にはあんまり意味ないんだけど)。内容は、北米全域とヨーロッパの地域を再現、搭乗できる機体は小型機からビジネスジェット、そして最大の特長はフライトプラン機能とGPS、そしてATC機能である。コックピットの見た目もマイクロソフトフライトシミュレータを多分に意識し、それを超える機能を盛り込もうという意気込みが感じられる。

 

良好なATC機能。

いつまでたっても重要な機能追加を行わないマイクロソフトフライトシミュレータに対して、プロパイロット'99は、いち早くATCやを再現した。管制側から一方的にメッセージを受け取るだけであるが、それでもシミュレーションとしてはすばらしい発展だ。音声は綺麗で聞き取りやすい。ただちょっとしゃべり方がわざとらしい。キー操作ひとつで、ATCの自動、手動が切り替えられる。手動では自分で周波数を変更し、管制からの通信に自分で応答しなければならない。これらを自動にし、音声の指示を聞くだけですむ。

 

使い勝手の悪いフライトプラン機能。

ATC機能を使い、管制からの指示を受けるには、まずフライトプランをつくらねばならない。ウィザード形式のように進め、指示する項目もあまりないのでわかりやすいはずなのだが、非常にやりにくい。肝心のマップ画面がめちゃくちゃに不親切で、最低限の情報しか表示されていない。どこのマップを表示しているのかもよくわからない。紙のチャートも付属していないので参照のしようもない。一応空港の検索の機能もついていたような気がするが、土地を知らない人にとってはどこの空港を指示していいかすらもわからない。せっかくの機能もこれでは水の泡だ。

 

ユニークなコックピットオペレーション。

コックピットパネルには立体的なスイッチが並べられており、これをマウスで操作して扱う。たとえばエンジンをかけるときは、まずアビオニクスの電源スイッチを入れ、エンジンの燃料タンクをセレクトし、マグネトをSTARTへ回し・・・だっけ? そんな感じで実機同様スイッチ類の操作をするのだ。Fly!ほどではないにしろ、非常に面白い。

 

最悪なシミュレーションエンジン。

フライトモデルに関しては諦めるほかない。とにかく最悪なのだ。飛んでいる感じがしない。ていうかむちゃくちゃ。いいかげんに接地しても着陸できるし。フレームレートも非常に悪く、3Dアクセラレータをつかってもはっきりとカクカクする。他にたいした表現をしているわけでもないので、マシンの速度よりも、おそらく描画エンジンの欠陥だろう。他に良いところがあるので目をつぶることにしよう。

 

Glideのみに対応。完成度の低さが目立つ。

グラフィックは比較的良い。Glideを使用したときに限って、雲や太陽の表現は格段に向上する。半透明の雲がふわふわと重なり、視界をさえぎる様子は特筆に価する。地表は全体的に渋めの色使いでリアル。これで操縦感覚がよければ雰囲気も良くなるのだが。 メニュー構成等は、マイクロソフトフライトシミュレータを意識している部分もあるものの、設定項目も少なく、いまひとつの感がある。使い勝手の悪さが機能を生かせておらず、全体的に完成度が低いといわざるを得ない。余談だが前作のプロパイロットは最悪だった。フレームレートも今より低く、効かないキーがあったり、有料アルファ版テストかと思えるほどだった。掲示板には早くパッチをだせ馬鹿野郎の罵倒と厭味の連続でさんざんだった。'99になっていくらかましになったが、いいかげん客を騙す商売は止めていただきたい。










追記。

Fly!やFlightUnlimitedの欠点がどうしても目に付くようになってしまったので、気分を変えてProPilot99をいまどきのハイパワーなPCにインストロールしてみた。リリース当時は欠陥ばかりが目立つ不満なソフトであったが、これが意外と印象が良かったのだ。リリース当時はあまりにもカクカクしすぎていて、まったく飛んでいる感じがしなかったのだが、高速なPCは描画エンジンの欠陥を完全にカバーし、なめらかに動いてくれる。ATCは明瞭な音声で、MSFSのアドベンチャーのように一方的に聞くだけのATCだが、グラウンドからタワーまで管制してくれる。デフォルトでは周波数を自動で合わせてくれるので、めんどうな操作なしにかっこいいATCを受けることができる。空港周辺にはほかの航空機も飛行しているのだが、驚いたことにこれらの航空機とATCもきちんとマッチングしているのだ。

残念ながら他機は空港の周りをタッチアンドゴーしているだけのようで、滑走路上に他機がいるからゴーアラウンドしろなどの指示はしてくれないし、万一衝突しても当たり判定はない。また、アプローチなどのコントロールはやたら遠回りに指示するので、なかなか着陸できない。おそらくジェット機の速度に合わせているのかもしれない。これらの管制はタワー空港のみで、フライトプランを作らない限りノンタワー空港からはじめるとATCなしになる。フライトプラン機能は前にも書いたとおり使いにくい。あらかじめいくつかのフライトプランが用意されているのだが、これらをロードしてもどんなプランか全ルートを見ることができないので、実際飛ぶまでわからないというお粗末さには参った。

ほかのシミュレータに比べ明らかに良い点も多いのだがフィーチャーの作りこみの甘さでそれらが生かされないのが本当に残念だ。






 

 

 

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