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Jane's Attack Squadron (mad doc software / XICAT Interactive)

アタックスコードロン

RATE: (Jane's WWII Fighters + Fighter Squadron) / 2






'99年頃のWW2戦闘機ものシミュレータの新製品ラッシュを覚えているだろうか。少し思い出しただけでも6本以上の製品がリリースされたのだと思う。中には Jane's WWII Fighters のような良作もあったが、ほとんどがマイナーメーカーが濫造したような完成度の低いものばかりで、マニアの目には不作であった。それから少し時期を外し、かの Looking Glass Studios が開発に名乗りを上げた。この製品は Flight Combat と呼ばれ、Jane'sブランドにて発売されるはずだった。かの秀作フライトシミュレータ Flight Unlimited を製品ラインアップに持つ同社のWWIIものシミュレータということで期待されたが、その後 Looking Glass Studios はあえなく倒産、Flight Combat の開発を引き継ぐメーカーも現れず、お蔵入りになってしまった。ところが最近になって、急きょXICAT社からの発売が決定した。Looking Glass 社の開発者の何名かがすでにほとんど出来上がっていた Flight Combat を Mad Doc Software 社に持ち込み、完成させたというのだ。それがここで紹介する Jane's Attack Squadron だ。





製品仕様

搭乗できる戦闘機は、Bf109E4,G6 Fw190A4,A8,D9 Me262A1B P47D P51D P38J Spitfire Mk.I,Mk.IX。多少ドイツ寄りだがバリエーションが明確になっているのが嬉しい。爆撃機はB17G B24D JU88A4 Lancaster Mk.I。コクピットはすべて3Dで計器も動く。爆撃機はノルデン照準器での爆弾投下はもちろん、銃座はすべて再現され、プレイヤーが操作することができる。メインメニューは、シングルミッション、クイックミッション、マルチプレイヤー、キャンペーン、パイロットトレーニング、リファレンス、オプション設定、となっている。シングルミッションはあらかじめ用意されたミッションをプレイ、クイックミッションは、自機、敵機の数、種類、シチュエーションを自由に設定し、プレイすることができる。リファレンスは搭乗する兵器やオブジェクトの解説。あとは推して知るべし、だ。

この製品のシミュレーション上での特長は、ダメージモデルの詳細さだ。なんだか聞き飽きたフレーズだが、弾丸一発一発について命中箇所とダメージを判定しているらしい。主翼の壊れ方だけでも何段階にも分かれ、それぞれ飛行感覚が変化していくのが面白い。被弾すると一発について弾痕が残るし、弾丸を発射すると、はっきり軌跡が見えるわけでなく、数発に一度しか曳光弾は見えない。なかなかリアルだが、いまどきのシミュレータとしては当然ではないだろうか。その他、シチュエーションは多彩。単なる地上攻撃でも、飛行場のほかに、建物や地上兵器を目標にすることがある。クイックミッションでは、プレイヤーは爆撃機の一機銃手として参加することもできる。面白いのは艦艇相手に雷撃もできることだ。





印象はよいが細部に手抜きが見え隠れ

Looking Glassブランドではないが、Looking Glass が開発していたものには違いないだろう。しかし、別会社での仕上げ、そして体験版もなく発表から発売までの期間の短さ・・・どことなく不安を感じるパターンだ。パッケージはDVDパッケージ、キー操作一覧表はついているが、マニュアルは20ページに満たない薄さ。起動すると割と長いオープニングムービーが流れるが、何の工夫もなく古い実写ムービーを垂れ流すだけ。音楽の数もメニュー画面とプレイ中の2曲しかない。リファレンスもゲーム中のスクリーンショットと形式的な説明のみ、トレーニングはただのシチュエーション集だ。盛り上がりとしては Jane's WWII Fighters にだいぶん劣る。やはりゲームのコア以外はあとから付け足したものではないだろうか。

それでも外見の印象はそれほど悪くない。タイトル画面やメニュー画面のグラフィックはセンスよく、凝ったものであるし、ゲーム画面も見どころは多く、最新ソフトなりのものだ。印刷物のデザインワークも良い。作り込みの甘さはあるものの、作り手のセンスが良いのであまり意識させない、といったところか。





疑問の多いシステム

ここまではなんとか及第点でも、残念ながらゲームそのものは落第だ。プレイ画面の印象は、Fighter Squadron によく似ており、デフォルトではキャノピーの支柱と照準器しか見えない。コクピットパネルの計器を見るには、視点を下にしないといけない。この点の尻ぬぐい的措置として、画面の左下には常に速度や高度などのデータが文字で表示されている。消すことはできない。弾数やフラップ、車輪などのインジケータはパネルには表示されておらず、操作するたびに画面に表示される文字のメッセージによって知ることになる。画面隅の文字とメッセージだけ見ていれば事足りるので、計器も動くリアルなはずの3Dコクピットパネルは完全に飾りとなっている。Fighter Squadron は表示オプションを自由に変更できたのだが、Attack Squadron では、尻ぬぐい機能がメインになってしまい、特長である3Dコクピットをまったく生かせていない。

コクピットからの視界は、WWII Fighters と同様、焦点距離が非常に長い感じで、あらゆるものが大きく、近く見えてしまう。敵機も他のゲームに比べ、実際の距離より大きく見える感じだ。この仕様の最大の問題点は、視野が狭いため、空間を把握しづらいことに尽きる。視界を切り替えて見張りを行い、多数の敵味方が飛び交う空間でお互いの位置関係を把握し、どの敵に対して有利か、どの敵に対して不利かを判断し、どのような機動を行うかを考えることは空戦の重要な要素なのだが、視野が狭いとこれが非常に難しくなることは想像に難くないだろう。実際のパイロットがPCでフライトシミュレータをプレイすると、「正面しか見えていないので感覚的に空間を把握しにくい」という。Flight Unlimited では視界を魚眼的表現で大きい角度をカバーし、視野の情報量をより自然に大きくした。Warbirds でも視野が広く、敵味方の位置や動きの把握が容易であり、空間の把握力が実力に現れる内容となっていた。開発者がこの点をあまり意識していないことは残念だ。

すべての飛行機は常にIDなどの表示はなく、ターゲットロックした時点ではじめて敵か味方かがわかるようになっている。この点はユニークだ。遠距離の飛行機は敵味方ともすべて同じ光点で表されるのだが、ターゲットロックすると敵か味方かわかってしまうし、光に反射してキラキラするのではなく常に同じ光り方なので、索敵の上ではあまり関係がない。操作感は Fighter Squadron のように非常にクイック。ストールはするがあまり厳しくないようだ。ストールすると、画面左下の自機の高度や速度などの表示が赤くなり、馬鹿でもわかるようになっている。本来なら操縦感覚の変化など他の自然な方法で表現するべきだっただろう。

シングルミッション、キャンペーンともにミッションにはマップがなく、自分の位置というものを知ることができないのも大問題だ。地図と地形を読んで、自分が今どのへんにいるのか、どの方向に進むべきなのか、あとどのくらいで敵が見えるのか、なども当然わからない。プレイヤーはただ画面に表示された矢印と数字を頼りに飛んでいくしかない。プレイスタイルとしては、まず離陸し、そして地図を見て方向を決定することができないので、とりあえず敵が出てくるまでウェイポイントをスキップ。自分で視界を切り替えて見張りを行ったり、敵機を見て機動するといったことはできないので、必然的にターゲットロック機能と、ターゲットの方向を示すマーカー、パッドロック視点を多用することになる。ターゲットをロックすると画面の右下に敵の高度や速度などの情報が表示される。消すことはできない。うんざりするほど前時代的だ。




開発中の製品をどうしても見たいのならどうぞ

詳細なダメージモデル、それっぽい飛行感覚、美しいグラフィックスなどは評価されるべきだろう。しかし、シミュレーションゲームとしてのまとめがまったくできていないのには閉口した。シミュレーションのコアは完成していたが、その他の部分はいいかげんに付け加えたものだろう。プレイ画面の文字によるデータ表示などは、はたして最初から意図したものだったのだろうか。ミッションのマップは、つけるのを忘れていたのだろうか。なんとなく充実しているっぽく見せるムービーやリファレンスもそうだ。この製品なりの良さはあるものの、キャンペーンを最後までプレイしたいとはとても思えない。同種の製品なら Jane's WWII Fighters のほうがずっとおすすめだ。

 




 

 

 

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