JetCopter (Aqua System)

ジェットコプター

RATE:廉価版ならなんとか。

 

飛行機ゲーム「ジェットストリーム」で知られるアクアシステム社のヘリコプターシムである。民間ヘリを操縦し、災害救助などのミッションを遂行する。フリーフライト、いくつかのミッション、2種類の機体。民間ヘリを扱ったゲームは今までなかったといっていいだろう。独特の操作感覚が楽しめるゲームである。

 

楽しめる操作感覚。

ほかの本格的過ぎるヘリコプターシムと違い、操縦はある程度手軽。素直な挙動を見せるが、思い通りに動かそうとするとなかなか難しく、楽しめる。コンバット系ヘリコプターシムより少し難しくできているといったところか。2作目の「2nd」ではドリフトがあり、わけがわからず大きく流されてしまうのが納得いかない。

 

操縦しにくい視界。

「なぜこんな重要なことに気づかないのか」といいたくなるところがいくつもある。まず、下方視界がない。さすがにこれは致命的だと思ったのか、後に改められた。しかしながら、ほんとうに「ただ下を見れるようにしただけ」のお粗末さ。下方視界のときにコックピット内のビットマップがないので、どの窓から見ているのか、どのくらいの角度で下を見ているのかわからない。横の窓から下を見るような視界もあるはずだ。ただ下が見えりゃいいってもんじゃないだろう。1画面の視界が狭く、状況を把握しづらい。魚眼的効果や、もっと後ろに引いたような視界を望む。(余談。メーカーは、VRAMが足りないからという言い訳をしているが、ほかのメーカーでできるのになんでアンタんとこでできないんだよと突っ込んでやりたい。)

このように視界に大きな欠点があるので、結局外部視界(後ろから自機を追跡する視界)を多用することになる。むしろ外部視界をデフォルトにしたほうがずっと印象は良くなるはずだ。どうせコックピットパネルはほとんどダミーなのだ。

 

おざなりな風景。

さらに、低空を飛行するヘリなら、もっと風景を作りこんでもいいはずだ。残念ながらいいかげんにでこぼこをつけた地形に真四角のビルがドカドカと並べられているだけのなげやりな風景にはがっかりした。橋やビルの上に着陸することができるが、たったそれだけ。もっと変化に富んだチャレンジングなシチュエーションはいくらでもあるはずだし、ひとつひとつのモデリングももっと凝ってもらいたい。

 

わかりにくいミッション。

消火ミッションはどの位置に行けばいいのかわからないし、犯人追跡ミッションはボートがうろうろするだけで興ざめだし、第一、まじめにシミュレーションとしてプレイしてコックピットビューだけでやろうとすると、まったくプレイにならない。彼らはテストプレイなどしていないのだ。

 

噛み合わない内容。あらゆる意味で中途半端。

全体的に、とりあえずヘリのシミュレーションエンジンができたから風景を適当に作ってなんとなくミッションのようなものをつけて売ってみたという感じだ。ヘリの視界はお粗末だし、ヘリを生かすような風景ではないし、正当なシミュレーションでできるミッションではない。随所に食い違いが見られる内容だ。テストプレイして客観的に評価などしないのだろう。ゲームとして完成度を高めればよいのに、なまじシミュレーションを作りたいなどというこだわりがあるせいで、食い違いが出るのだと思う。せっかくヘリの操作がおもしろくできているのに、それが生かせないとは残念だ。

くだらない話だが、バージョンアップ版の「2nd」も人を食ったような内容だ。1作目と別売の追加ミッションをあわせ、航空写真の風景を1枚追加しただけの内容である。1作目を買った人が、バージョンアップ版だと思ってこの2ndを買うと、「ハァ??」と首をかしげる羽目になる。この1作目と追加ミッション、2ndは、店頭に並べて置いてあったりする。しかも2ndは、廉価版が先行発売してしまっている。だれが買うんだろうか。

 

開発ツールは中止?

当初、風景と機体、ミッションを作るツールの公開が予定されていたが、いまだに影も形もない。風景が作れれば多少は良くなると思うのだが。

 

 

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