PETIT COPTER 2 (AQUA SYSTEM)

プチコプター2

RATE: 「室内でラジコンのヘリを飛ばすプログラムが完成しました。飛行特性には特に苦労した甲斐あってリアルでしょう。ゲーム? へ、なにそれ?」
プレイ時間: チャレンジ レベル9、アドベンチャー 小型機クリア、中型機クリア、大型機途中

 




前作から少しは勉強しましたか?

アクアシステム社開発の製品にしてはめずらしく遊べるゲームに仕上がったプチコプター。ラジコンヘリを操縦して部屋の中を飛び回り、ヘリのそれっぽい操作感が楽しめる内容で、一部の人に人気を博した。しかしながら、ヘリの動きは楽しめるものの、それ以外の部分はどうにもぎこちなく、ゲーム開発の常識のなさが露呈される内容だった。

今作では前作のあまりに非常識だった部分 (一度クリアすると繰り返しプレイできない、わかりにくいメニュー画面など) がそれなりに改善され、多少常識的になった。チャレンジモードや機体、アドベンチャーでのフィーチャーがバリエーション豊かになった。チャレンジモードでは、敵の攻撃を避けて星を取る、輸送ヘリでのコンテナ運び、攻撃ヘリでの的当て、ゴキブリ退治、台所での消火などもりだくさん。アドベンチャーモードでは、動く飛行船や攻撃してくる戦車などが追加され、前作にもあった、どこかを押して作動させると星が出るというフィーチャーが多くなった。いくつかの隠し場所にはヒントが表示されるようになった。クッションなどの物体を押して動かす仕掛けもある。





限りなく安直なフィーチャー。

これだけ列挙すればすばらしく盛りだくさんのように見えるが、実際プレイしてみるとあまりボリューム感は感じられない。それどころか、遊びに対して妙に消極的なところが目立つ。チャレンジモードでは、ミッション数は多いのだが、風船割りや星集めの内容が多く、いつもやることが同じで飽きやすい。せっかく敵ヘリやコンテナ運びなど面白いフィーチャーがあるのだから、もっとミッション数を少なくして内容を濃くするべきだ。部屋の中での星集めなんてアドベンチャーモードでうんざりするほどできるのだから、割愛したほうがいいだろう。飽きる原因の一つに、評価基準が、クリアにかかった時間と着地位置、着地時の衝撃しかないということもあるだろう。特にクリア時間は非常に厳しく、プレイヤーはとにかくクリア時間を縮めることだけに気を使わねばならない。従って、どのミッションでもとにかく速くクリアできる攻略パターンを作るしかなく、コンテナ運びや風船割りなどの遊びを堪能している暇などないのだ。評価基準は、コンテナなら運んだ数、下ろした位置の正確さ、攻撃ヘリなら撃破した数などとするのが適切だろう。時間が短くてうれしいのは輪くぐりくらいなものだ。開発者としてはおそらくタイムアタックでクリア時間を競って欲しいという意図があるのかもしれないが、タイムアタック(正しく言えば時間制限)は楽しみ方を著しく制限するので、それぞれのミッションの内容に応じて、もっと楽しみを引き出す評価内容とするべきだっただろう。

アドベンチャーモードでは、開発者がもっと創造力を働かせるべきだった。チャレンジモードでは、物を運んだり、敵の攻撃をかわしたり、ゴキブリを退治したり、消火したりなどのユニークなフィーチャーがたくさん登場するのに、アドベンチャーモードではこれらがまったく活かされていない。たとえば、天井のファンはファンそのものにアクションを起こすことで速度を変えられるのだが、これが部屋の壁のスイッチを操作するようになっていたら、プレイヤーはなるほど、と感心するだろう。壁のスイッチの前に障害物を置くとどうだろう。プレイヤーが輸送ヘリだったら、障害物を運んで除去するだろうし、プレイヤーが攻撃ヘリだったら障害物を破壊して除去するだろう。小型ヘリなら障害物の隙間から入り込めるかもしれない。こうした一連の動作が面白く感じられ、また具体性があるのでプレイヤーを納得させることもできる。ただ必然性なく、どこかを押せば隠された星が出てくるというのではあまりに安直すぎる。現状のアドベンチャーモードは、まるでチャレンジモードでの星集めミッションをただマップを広くしただけのようだ。動く物体は多少出てくるが、開発者はとにかく取りにくい位置に星を置いてプレイヤーを困らせることにしか注力しなかったようだ。

ほかにも気になる点は数え切れないほどあり、前回のように箇条書きで列挙しようと思ったが、あまりに多くて本当にキリがないので割愛することにした。






スーパーライトユーザーならお勧め。

念のために繰り返すが、このプチコプター(2も含め)は面白くないわけではない。ヘリの操作感はリアルだし、操縦テクニックを発揮して、ふらふらしながら飛ぶヘリをコントロールし、部屋の中に散らばる星印を集める作業は楽しい。ヘリの動きは納得できるものだし、星印も、椅子の下や引出しの中などチャレンジングな場所に隠されている。見栄えも、昨今のコンシューマゲームのように一般人受けしそうな明るい絵柄だ。ゲームフィーチャーには特に一般人向けの工夫はなく、納得しがたい難易度のまずさもある。が、おそらくゲームとは縁のない人にやらせれば、このゲームのすべてを受けとめ、夢中になって遊ぶことだろうと思う。そういった人にはお勧めできる。しかしながらいまどきそんな人はごく少数だろう。少しばかりPCゲームやコンシューマーゲームをプレイしたことがあるなら、どうにも安直だ、とか、手抜きだ、とか、こんなことはできないの? とか、ここはふつうこうなるはずじゃないの? という疑問が湧いてくる。プレイ中に、どうにもイライラするというか歯がゆいというか、いぶかしいというか、やりようのない気持ちになる。






ゲーム開発の素質なし。

アクアシステムという会社は、他の製品を見ていると、ゲームソフト開発会社としてはどうにも不自然な印象を受ける。ゲームソフトというのはエンターテインメントであり、それを作る人はおそらく娯楽、主にテレビゲームに感心があり、人を楽しませることの好きな人だろう。そういう人たちにとって、ゲームのフィーチャーを考えるのは楽しい作業であるはずだ。しかし、アクアシステムの製品にはどうもそれが感じられない。「それは技術的に難しいから」「こっちをそうすると、あっちがうまくいかないから」などという言い訳がいまにも聞こえてきそうだ。問題になりそうなフィーチャーは全部取り入れませんでした、とでも言わんばかりだ。遊びではなく、プロが企画に沿ってよりよいフィーチャーを生み出すのは決して楽しいわけではないが、アクアシステムの製品の場合、それ以前の問題のことが多い。とりあえずゲームのような画面は出るが、これはどのように楽しむものなのかが考えられていないことすらある。

発想力も技術力もないのならないなりに、現代の一般的なゲームソフトというのをよく見て、ゲーム作りのセオリーというか常識というものを学んでいって欲しいと思う。とはいえこの会社、もう10年も開発業務を続けているのに、かろうじて遊べる製品がプチコプターだけっていうのだからどうしようもないと思うが。






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