HITMAN: CODENAME47 (IO INTERACTVE)
ヒットマン コードネーム47
RATE:魅力が欠点を凌駕か。
プレイ時間:全面クリア。
西沢謹製なげやりWalkthrough
一言では語れない要素をもっている。あまりにも怪しすぎる雰囲気、違和感ありまくりの操作感覚で、一見したところはマイナーメーカーのB級作品にしか見えない。が、印象とは裏腹に、内容、視覚効果、音などすさまじくつくりこんである。特殊なゲーム内容やいくつかの欠点で人を選ぶ内容ではあるが、高い自由度と戦略性、やればやるほどに面白くなる良質のゲームの素養を多く持っている。
ジャンルは最近できた言葉でいうと、ステルスシューター、他のゲームにたとえて言うならThiefの現代版だ。プレイヤーは暗殺者であり、ターゲットに接近する。時には一般市民として、時には仲間になりすまして、あるいはウェイターなどに変装して。殺人はもちろん、怪しげな行為は一切見られてはならない。逆に、見られてなければ何をしてもよい。ひとりで物陰にいる人間を刺し殺してそそくさと武器をしまい、何食わぬ顔をして出て行けば誰にもわからない。ただし、ピストルの音を聞かれたり死体を見られたりすると、その近辺が警戒状態になるので過度な行動は危険だ。見られる、聞かれる、バレるかどうかはThiefのビジビリティジェムのような明確な基準はなく、常識的判断によるようだ。また、Thiefにはない、なりすましも面白い。特になりすましというメニューや機能があるわけではないが、具体的に何を指すのかは実際にプレイをして試してもらいたい。
自由度の高い内容。
ミッションのはじめには、各種情報と武器が与えられる。マップに放り出されてもはじめは何をしていいのかさっぱりわからないだろう。情報を収集したり、手段を考えるのはプレイヤーの仕事なのだ。自由度は高く、どの順番で進めるか、どんな格好(服装)をしているか、何の武器を持っているかなどで展開が変わってくる。誰かを殺すミッションでは、想定された方法以外にもマップをよく観察すればいくつも狙撃ポイントがみつかる。そこに到達するまでにさまざまな試行錯誤が必要になるわけだ。アサルトライフルなど強力な武器も使えるが、力押しはたいてい不利になる。一見、派手な戦闘をするしかないような局面でも、頭をひねることによって、ナイフでひと突き、あるいはワイヤーで絞殺で済んでしまうことが多い。うまくやれば力押しでクリアできてしまうミッションもあるのだが、やはりテクニックがものを言う。
プレイヤーの自由度に答えるグラフィック表現も忘れてはならない。自由度があるということは、それだけこの世界もつくりこまなければならないということだ。写実的な風景、複雑な建造物、3Dグラフィックス技術によるさまざまなエフェクトは言うにおよばず、このソフトでは特に人間の動き、関節の動き、AIに注目して欲しい。通行人は見るからに怪しげなプレイヤーをじろじろと見るし、死体を見ればおどろいてまじまじと見るもの、きょろきょろあたりを見回すもの、仲間を呼びに行くものなどがいる。グラフィック表現上でおそらく最もリアルな部分は、人体の間接の表現かもしれない。排水溝などの段差のあるところに死体を引きずっていくと、ずるずると落ちていくのだが、こが実に自然な動きなのだ。これが、人を撃ったときの死にざまでもよく表現されていて、塀のそばで撃ち殺すと、塀にもたれかかって倒れる。見張り台の敵を撃ち殺したときは、塀にかぶさるように倒れ、ずるずると向こう側に落ちていき、落下の途中で柱に胴が引っかかりそこからまたずるずると落ちていく。ほかのゲームでは、死体の寝転がったポーズのままボトンと落ちるだけだろう。ソルジャーオブフォーチュンは、痛がる動作がリアルで話題になったが、このヒットマンはある意味それ以上のリアリティを表現しているといっていいだろう。
AIは、戦争アクションゲームではないためそれほど派手な動きをするわけではないが、良いといっていい。ていうか戦闘をせずに殺すゲームなので戦闘でのやり取りはあまりない。人間にはちゃんと視界があって、前だと見られる。後ろだと見られない。音などに気づくとあたりを見回し、警戒する。難しいのは、一度ばれるとおしまいということだ。Thiefでは見つかって追いかけられても、一定時間で諦めて帰っていってしまい、忘れてくれる。が、ヒットマンの敵は忘れてくれないのだ。ほとぼりがさめたころに顔を出すとすぐに撃ってくるし、敵がいったん警戒態勢になると変装しても無駄なのだ。しかも、一人が警戒態勢に入ると、その周りのメンバーにも伝わるらしく、こうなってはもはややり直すしかない。入ってはならないところに入ると、たいていは警告されるのだが、いきなり撃たれることもあるのも困る。
ちなみにこのゲーム、前半は激しく作りこんであるが、後半までエネルギーが持たなかったらしく、だんだんと単純なゲームになってくる。自由度といっても、ミッション内で決められたイベントや、想定されたクリア方法があり、もともと完全に自由になるよう設計されたゲームではないので期待し過ぎないほうがいい。あくまで工夫次第でいろいろできるという意味だ。最後になったが控えめな音楽も陶酔度抜群。完成度は今一歩およばないと思うが、Thiefのぞくぞくする感覚をもう一度探している人にはお勧めする。
追記。自分の頭の悪さをゲームのせいにする馬鹿者はいますぐゲームをやめ、PCをベランダから投げて死ね。
このゲームは絶対お勧めするというわけではないが、どうも操作性が悪いと批判する輩が多いようだ。断言するが、これは操作性が悪いのではなく、独特なのである。三人称は変装というフィーチャーを生かすためという必然性があり、またゲームバランスにかなっており、十分に思うように操ることが可能である。操作が他のゲームと違うから、あるいは自分が慣れていないからという理由で拒否するのは単なる我侭であり、そういう場合は単に「好きでないからこのゲームはやらない」といえばよいのであって、原因を操作性に押し付けるのは、己の思慮の浅さをなんとか正当化しようと他人のせいに押し付けるする偽善者であり、それらしい理屈(しかも間違っている)をつけたがるオタクであり、ゲーム業界の癌なのだ。ゲーム関係のみならずその程度の人間性しか持たない奴らとはお付き合いしたくないものだ。